凍結推進施工報告

施工条件

工事名寝屋川北部地下河川 古川取水立坑築造工事
施工場所大阪府門真市三ッ島590
発注者大阪府寝屋川水系改修工営所
推進工法凍結刃口普通推進工法
施工期間2000年 9月11日 ~ 2000年12月12日
立抗番号取水立抗 → 既設調節池(φ7500mmシールド)
推進管径φ2800mm
推進管種合成鋼管 L=2.43m
推進延長L=25.6m
土被り38.3m
土質名砂混じり粘土層
凍土の強度一軸圧縮強度(-25℃)9~18N/mm2(92~183kgf/cm2)

施工概要

寝屋川流域の暮らしを洪水から守るため進められている総合的な治水対策工事の寝屋川北部地下河川の一環で、洪水時に古川の水を取水するための立抗と古川調節池への流入管を築造するものもので当社は前述条件によりφ2800mm合成鋼管を凍結刃口推進工法にて施工しました。

凍結工法の採用について

当現場の土被りは38.3mと深く、被圧水も高い(392kN/m2:4kgf/cm2)のため、通常の地盤改良では安全性の確保が難しく 凍結工法が補助工法として採用されました。

凍結工法の原理について

凍結工法の原理は地盤中に所定の間隔(80cm)で冷却液を循環するパイプ(凍結管)を埋設し、これに冷却液(ブライン)を流し、管の周囲を冷却して土中の間隙水を凍結管を中心に年輪状に氷結させ、さらに隣接する凍土柱と連結して遮水壁あるいは耐力壁をつくるというものです。

冷却方式について

冷却方式には、ブライン方式と低温液化ガス方式の2方式があり、一般に補助工法として採用されているのはブライン方式です。(当現場もブライン方式が採用されました。)
この方式は、ブラインと呼ばれる不凍液を冷凍機を使って-20℃~-30℃に冷却し、地盤中に埋設した凍結管に循環ポンプで送り込んで地盤を冷却します。
そして地盤の熱を奪って温度の上昇したブラインを再び冷凍機に返して冷却する循環方式による凍結方法です。

施工

発進立坑築造後(ケーソン内径 14m 壁厚1.5m 深さ 44.25m)凍結工事に入り管路部の凍結が完了し、発進鏡部のケーソン壁をコアボーリングにて撤去完了後、1次掘削から開始しました。
一次掘削は、管路中心部に温水を循環させる加熱管を通し(φ125mm×4本)、中心部の凍土を溶かしたヶ所 (φ1.8~2m)をピック及びフレーカーを使って掘削を行い、掘削径φ2.7mで既設シールドまで貫通しました。
土砂搬出は、ベルトコンベアを使用しましたがモーター、ローラー部の凍結防止のため、加熱管用の温水を2インチホース内に循環させ、これをベルトコンベア周囲に設置、保温しました。
一次掘削完了後、二次掘削は掘削径φ3.3mで到達側より発進側に向かって行いました。
掘削方法、残土搬出方法は、一次掘削と同じです。
違いといえば、加熱管を撤去したため管内温度が一次掘削の時よりも5~6℃くらい低くなり、20~30分いると体が冷えてじっとしていられないくらい寒くなることでした。
ちなみに施工時期は残暑の残る9月中旬の施工で、外気温は30℃、立抗内部は14℃でしたが、切羽では0~5℃と温度 差があり体調管理が難しく、体調維持には全員苦労しました。
掘削は、日進量1.5~2mで進み、一次、二次掘削併せて一ヶ月半掛かりました。
合成鋼管推進完了後は、発進、到達坑口部の止水を行い、最後に裏込め注入を行いました。
注入完了後、凍結を停止しましたが、凍結停止一ヶ月後抗口部から漏水があり止水に苦労しました。
止水材及び裏込注入材は、凍結しにくい早強度の材料を使用しました。
最後に当社でも施工例の少ない工事を経験させてもらいありがたく思いました。
今後の大深度推進に活かしたいと思います。