
PCタンクの一般的な形状は、屋根は球面ドーム、側壁は円筒、床版は円形スラブとした構造である。当社が従来から採用してきた側壁弾性支承方式では、屋根ドームは周辺のドームリングで支持し、側壁と連続剛結構造にする。
ドームリングは屋根の荷重によるフープテンションを、側壁は水圧によるフープテンションを打ち消すためそれぞれ円周方向にプレストレスを導入する。床版は、基礎地盤の地耐力が十分ある場合には直接基礎にし、側壁を支持する部分だけ厚くする。(図−1)

図−1
側壁弾性支承は側壁に生じるモーメントを床版に伝えない構造である。側壁と床版の間には縁切り材とゴムパッドを挿入し、荷重はこのゴムパッドで受けている。
隙間の止水は円周エンドレスのゴム止水板で行い、地震時の水平力は側壁と床版の間に挿入した耐震ケーブルで反力を取るように設計する。(図−2)

図−2
質量Wの固体が水平方向に加速度αを受けると水平力(W・α)が働く。しかし容器に容れられた液体の場合は液面が上に逃げることによって水平力が和らげられる。
いま質量Wの液体を容れたタンクが水平方向に加速度を受けたときを考えると、液体のある部分はあたかも側壁にくっついた質量W 0の固体のように動きをし、
衝撃力(impulsiveforce)P0を生じる。
また加速度は液体に振動を与え、液体のある部分は側壁に弾性的に連結した質量W 1の固体のような動きをして
環流力(convectiveforce)P1を生じる。
これを図式的に示すと図−3のように説明できる。

図−3
P0、P1は(液深H/半径R)によって決まり、同じ容量の場合、水平力の合計はH/Rが小さいほど小さくなる。因みに、H/R
と加速度αの減少率を表−1に示す。
| H/R |
0.3 |
0.4 |
0.5 |
0.6 |
0.7 |
0.8 |
0.9 |
1.0 |
1.1 |
1.2 |
1.3 |
1.4 |
1.5 |
1.6 |
1.7 |
1.8 |
1.9 |
2.0 |
3.0 |
4.0 |
|
| α減少率 |
.27 |
.34 |
.40 |
.45 |
.51 |
.55 |
.60 |
.63 |
.67 |
.70 |
.73 |
.76 |
.78 |
.79 |
.81 |
.82 |
.83 |
.84 |
.89 |
.92 |
注)上記α減少とは固体の場合1に対する比率でる。
水平加速度αの重力加速度gに対する比を水平震度と言い、KHなどで表示する。
KHはタンク形状(水深/半径)と基礎地盤の地質によって決定され、通常は0.32〜0.45になる。
地震力によって生じる部材応力
地震によって生じる力とは躯体の慣性力と内容水の動水圧である。これらはドーム、側壁および床版に常時には起こらない応力を発生させる。
(1)ドーム
ドームには躯体の慣性力しか作用しないこと、構造がシェルであることのため、大きな応力にはならない。
(2)側壁
地震時に側壁には躯体の慣性力と大きな動水圧が作用する。この水平力によって円形であった側壁は図−4に示すようにたまご型に変形する。
θ=0°では円周方向に圧縮力が180°では引張力が加わるとともにわずかに曲げも加わっている。 円筒壁又はパイプのような断面のせん断応力は、全周に一様ではなく断面中央(θ=90°)で最大となりその大きさは平均の2倍になる。地震時に必要な側壁の応力チェックは以上の2ヵ所、θ=180°位置の曲げ応力度とθ=90°位置のせん断応力度をおこなえば十分である。
曲げモーメントと軸引張よる曲げ引張が大きい断面の耐力を増やすには、円周プレストレスを増やすか鉄筋量を増やす。せん断応力が大きい断面は円周プレストレスを増やせばよい。

図−4
(3)耐震ケーブル
側壁基底部は地震時に作用した水平力の総力を耐震ケーブルで支持する。 基底部の円周に沿って埋め込まれた耐震ケーブルは水平な床面と45°度および135°の傾きを持たせ、これを交互に配置し、地震時にはそのどちらかが有効に働くようにしている。
この耐震ケーブルは地震力に平行な位置で最大となり、地震力に垂直な位置では働かない(図−5)。
これは側壁のせん断力と同じであるし、支承が固定でもヒンジでも同じである。 このような耐震ケーブルを施工する場合には次のことに注意しなければならない。

図−5
水平面と45°に配置したケーブルは水平力1に対して1/cos45°=√2 の大きさの力が働く。
耐震ケーブルを施工するときは角度が45°より大きくならないことが大切である。
耐震ケーブルのスリーブで覆われた部分は 円周方向にはバネとなって伸縮し、半径方向にはスリーブがつぶれて拘束なく側壁が移動できるようになっている。
スリーブ長が長いほど柔らかいバネになり、移動も行いやすい。したがってスリーブを線できつく締め付けることは弾性支承の性能を著しく低下させる。
ケーブルは素線を撚ることにより均一の引張力が得られるので、素線をばらけるような加工をしてはならない。
(4)床版
側壁に働いた地震力は円筒壁に対して曲げモーメントとして作用し、タンク床版には一方で上向きに、反対側では下向きの鉛直力として作用する。 この力は床版フーチングに曲げモーメントを生じさせる(図−6)。
床版は鉄筋コンクリートであるから曲げ応力度が大きい場合鉄筋量を増やすか床版厚を厚くする。

図−6
プレキャストパネル方式(パネタンク)
プレキャストパネル方式は当社の弾性支承にとって、適合させやすいものである。長方形ゴムパッドを敷いてパネルを建て込むだけでよいからである。
ゴム止水板は側壁の内側に、耐震ケーブルはパネルとパネルの間に設置して間詰めコンクリートで側壁に埋め込む。
間詰め部は両側のパネルから出ている鉄筋をラップさせてコンクリート打設するので、打ち継ぎ目が弱点になることはなく、耐震性がパネルよりも劣ることはない。
間詰めに鉄筋が配置されていないプレキャスト工法ではコンクリートの引張は考慮できないので、地震時曲げ応力度は引張が発生しないようにプレストレスを多量に導入しておかなければならない。
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