
| No.237 アルティミットJr.機 実証実験報告 |
推進工法は、工事による道路の占用が少ない工法として、これまで多くの施工を行なってまいりましたが、周辺環境を考慮し、長距離や急曲線、立坑の省スペース化など、その施工内容は年々複雑化してきています。
そして、最近の推進工事においては、小口径管推進の曲線化が求められるようになってきました。
アルティミット工法はこれまでに、中大口径の分野において多くの実績を積み重ねてきましたが、最近の面整備計画のニーズに応えるべく、小口径管曲線掘進機「アルティミットJr.機」の開発を行ないました。
小口径管の曲線施工を可能にした掘進機はこれまでにもありましたが、アルティミットJr.機は泥水方式一工程式での施工を初めて可能とした掘進機です。
今回は、先日行なわれた実証実験の報告を行ないます。
- 最小曲線半径:R=50m
- 推 進 延 長 :L=100m 程度
- 適 用 管 径 :呼び径 400
- 適 用 土 質 :土質区分表参照
- 最小立坑寸法:発進:呼び径 2.5
- 到達:呼び径
1.5 ※
- ※人孔到達の場合は呼び径1.2(2号人孔)からの分割回収が可能
表−1 土質区分表
| 土 質 |
礫率 |
N値 |
最大礫径 |
面板 |
A
土
質 |
シルト粘土 |
− |
10以下 |
− |
標準型 |
砂
礫混り土 |
20%以下 |
− |
20mm |
礫対応型 |
B
土
質 |
B1 |
20%以下 |
30以下 |
※65mm |
| B2 |
− |
10〜30 |
− |
標準型 |
※礫径については呼び径の1/3まで施工可能
1)施工概要 実証実験は、当社福知山倉庫のヤードにおいて行なわれました。
- 呼 び 径:400
-
推進延長:L=49.7m
- 曲線施工:R=50m 1ヶ所
- 土質分類:礫混じり粘土
- 最大礫径:約150mm
- 土 被 り:約2.2m
- 勾 配:+5‰
- 推進管長:1.2m
図−1 推進管路概要図
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写真−1 現場状況 |
2)施工概要
本施工は実証実験ということで、各機器の状況などを確認しながら行ないました。推進当初の日進量は2〜3本と少なかったのですが、最終的な日進量は5本となりました。

写真−2 推進状況 / 写真−3 掘進機回収状況
3)コーン内ジェット洗浄機構
推進中、粘性土の区間においてコーン内に粘性土などが付着し、排泥流量が不安定になり、カッタートルクが常用トルクの50%から100%に増大しました。
ジャッキスピードも80mm/minから40mm/min程度まで低下したため、コーン内洗浄を行ないました。その結果、流量が安定し正常な還流が行われるようになりました。

写真−4 コーン内ジェット洗浄状況
4)礫破砕
立坑掘削時に100〜150mm程度の礫が出現し、推進部にも同様の礫の存在が予測されました。
掘削残土からは、25mm程度に破砕された礫が確認されたため、コーン部での礫破砕が、確実に行なわれていたと考えます。
写真−5 立坑掘削時確認礫径 / 写真−6 礫破砕状況
5)環境保全
泥水式掘削管理システムの採用により、掘削土量を適正に管理でき、土砂の取り込みすぎを防止しました。
6)曲線造成
掘進機には5ヶ所の曲線造成ジャッキを装備し、最小曲線半径R=50mの造成を可能としました。
送排泥管も、曲線施工に対応するため、屈曲可能な構造をもつ二重管を採用しました。
この送排泥二重管は、不測の事態が生じた場合の、引き抜きにも使用可能な構造となっています。
曲線部での推力伝達を確実に行い、曲線造成を容易に行うために、センプラカーブシステムを採用しました。
小口径管は到達後の目地工が不可能なことから、左右の隙間にはソフトリングを貼り付けました。
 
写真−7 曲線造成状況 / 写真−9 センプラリング貼り付け |

写真−8 送排泥二重管 |
7)推進力管理
施工中は滑材の注入を計画的に行い、到達時には250kNと、設計推進力よりも低い推進力で到達することができました。
滑材は、小口径管推進専用滑材の「S2K」を使用しました。 この「S2K」はアルティミット工法専用滑材である「アルティ−K」と同等の摩擦係数を有しつつ、
粘性を低くすることで、細い滑材ホースでも注入可能となっています。
アルティミットJr.福知山実験
図−2 設計推進力と実推進力の比較
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8)品質・精度への対応
◎中央集中管理システム
中央操作室内で推進にかかわる作業を一括して行ないました。これまで手動で行なっていた立坑バイパスの切り替えも遠隔操作でき、効率の良い推進施工が行なえるようになりました。
◎曲線精度管理
曲線部におけるセンター精度管理は、電磁誘導測量装置「モールキャッチャー」による位置管理と、 「ジャイロコンパス」による方位角管理で行ないました。
その結果、高精度の掘進ができました。
ジャイロコンパスによる方位角計測の結果も良好で、交差点上などモールキャッチャーでの測定が困難な区間では、 次にモールキャッチャーで測定するまで、ジャイロコンパスを使用した計測を行い、精度を維持することができると考えます。
実証実験測量結果比較(センター)
図−3 センター精度管理結果
レベル管理は、液圧差レベル計で行ないました。液圧差レベル計は、ホース内に空気が混入すると、測定値が狂ってしまうため、ホースの配管作業は慎重に行ないました。
推進開始直後は、掘進機の各機器の状況確認、調整などを行ったため、設計ラインを50mm程度下回りましたが、以降は高精度の推進施工ができました。
液圧差レベル計は、適切に管理することで、高い精度が得られることがわかりました。
実証実験測量結果比較(レベル)

図−4 レベル精度管理結果
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写真−10 中央集中管理システム
写真−11 掘進機到達状況
写真−12 管路敷設確認状況
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今回の施工は、アルティミットJr.機の開発に伴う実証実験として実施しました。
最小曲線半径R=50m区間を、精度良く順調に施工できたことや、アルティミット工法で実績のあるシステム以外にも、コーン内ジェット洗浄機構や送排泥二重管などの新システムの有効性が確認できたことは、実証実験として大きな成果といえます。
アルティミットJr.機は、 「安全で合理的な施工を可能とする掘進機」 というコンセプトで開発を始めました。推進工法の省力化、新たなニーズに応えるべく、今後もアルティミットJr.機の改良・改善を行っていきます。
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