泥-被服団地工事

工事概要

本工事は送電ケーブルの本管 150mm UPFP管18本の鞘管として、呼び径1500のヒューム管を泥水式推進工法で施工したものです。
工事場所は大阪外環状線で、将来施工される道路改良工事の土留め深(GL-13.2m)が考慮され、発進立抗は深さ 20.330m、また、経済性から到達立抗は深さ5.80mとした 道路横断バーチカルカーブ推進となりました。

施工系統図 S=1/400 縦断図
工事名被服団地付近外環横断管路新設工事
工事場所大阪府東大阪市西石切7丁目地先~5丁目
推進管径呼び径1500ヒュ-ム管 L=1200mm(半管)
推進型式泥水式推進工法
延長93.6m
曲線施工垂直カ-ブ R=90(1ヵ所)
土被り最大18.060m ・ 最小3.500m
土質砂礫・粘土 N値(5~60/15)

施工上の課題と対策

  1. 掘進機の選定
    推進管路は、土被りGL-18.06~3.5mと縦断的に粘性土(N値5~20)、砂質土、砂礫土(N値 20~30、100mm程度の礫あり)の互層を通過しますが、通過土層の過半数をしめる粘性土、砂質土の掘削を対象にして DT-1500型掘進機を選定いたしました。
  2. 水圧および掘進管路の自重によるバッキング防止 (特許出願中)
    立抗が深いため、初期推進時の掘進機面板にかかる切羽水圧によるバッキングが予測されました。
    その対策として、図に示すようにヒュ-ム管の両側面下方にアンカ-を埋め込み、バッキング防止専用金具で、推進架台と推進管をボルト連結する事により、防止する方法を採用しました。
    当現場では切羽水圧とともに管の自重もバッキング力として加わり、到達までバッキング防止対策が必要でした。
  3. 発進立坑内作業スペ-スの確保 (特許出願中)
    本工事における発進立坑は、周囲の埋設管の状況により、内径3650mmの狭いセグメント立坑となりました。
    このため、本掘進作業に先立ち、作業スペ-ス確保のための推進設備の設置作業が、大きなウエイトを占めました。以下に対応策を列挙します。
取り付け図

元押ジャッキをコア抜きした鋼管筒内に設置。

元押ジャッキ(改造型)100t×1000st×4台
ケーシングコア抜き
350A L=1.060m、4本
※ジャッキ反力は、ジャッキ外周のヒンジにて支持。

発進坑口設置

発進立抗

発進部の土質改良(CJG工法)後、径125mm、L=1.1mのコア抜きを行い、外径約2.2m、L=1.5mの発進坑口金物を発進立坑より手掘推進で設置しました。
埋込型発進止水金物(内径1500用)

支圧壁工

発進立坑が内径3650mmと特殊な立坑であり、所定の支圧壁を設置すると推進スペ-スが確保できないことから、推進ジャッキ一体型の鋼製反力壁を製作し立坑に設置しました。
支圧壁と立坑土留の空間は高強度モルタルを充填しました。

掘進機の据え付け

掘進機の据え付け

掘進機重量は15t(本体)で、50t移動式クレ-ン車を使用して据え付けを行いました。
昇降設備を取り付けると2000mm×1950mm程度の空間しかなく、掘進機の吊り降ろしに際しては掘進機を垂直にし、発進立抗架台まで降ろし、水平に回転させ発進架台に設置しました。
掘進機は2分割で吊り降ろし発進架台上で組み立てました。

メタンガス測定・抗内電力遮断装置

当工事に於いては、事前調査によってメタンガスが発生する事が確認されていました。
従って換気を行うと共にメタンガスの発生状況の計測と、発生時の坑内電源遮断計画を立て工事の安全を図りました。
概要は次の通りです。

  1. 換気を充分にするため、ナイスウイング(SME-09037)を使用。
  2. 常時監視機能を有した定置式ガス検知システムを使用。
  3. ガス検知システムからの濃度が、第2段階に達した場合、坑内の全電源を遮断するために、坑内の爆発の元となる電源を地上で遮断するシステムを設置。

推進施工

精度管理

当推進路線は、平面的には直線推進でしたが縦断にR=90mのカ-ブが1カ所ありました。
発進立抗が狭く(内径3650mm)深さが約20.3mと非常に深いため、通常の測量方法ではセンタ-基線を立抗下部に移設する際に大きな誤差を生じる事が懸念され、オ-トジャイロを使用して方位角の確認を行いました。
また、曲線形成のためセンプラカ-ブシステム(90°、29mm)を採用しました。
その結果、到達精度は左3mm、+37mmの成果となりました。

推進力管理

通常、推進力は、計画推進力を保つかそれ以下の方が好ましいと考えます。
当工事においては、滑材材料としてアルティーKを使用し、最大168.81tで計画しましたが、到達時での縁切推進力133t、実績推進力115tであった反面、バッキング防止金具の設置距離は長くなりました。
推進途中においては、滑材注入量を調整する事によって推進力を調整することも考えましたが、工期が年末であったため判断が難しく思われました。

工程管理

当初の計画では、発進立抗の条件により、管据え付けの工程を重く見て、日進量を4.8m/日と見込んでおりましたが、2H残業する事により6.0m/日の日進量を確保する事ができ、無事年内に掘進機を引き上げることができました。

まとめ

難工事と思われた本工事も十分な検討と対策により、無事完工することができました。