小口径管路拡径切削推進工法(PRM)春日出工事 工事報告

はじめに

小口径管路拡径切削推進工法(以下、PRMと略す)が2000年8月より大阪市春日出にて施工されました。
PRMは非開削による管路更新工法として新たに開発されたものです。
施工機械を人孔内に搬入し、地下で施工するため、開削工事で発生する交通規制や地下埋設物の輻輳の問題などが少なくなります。
今回は、春日出工事におけるPRMの切削性能や作業状況などについて報告します。

工法概要

この工法は既設小口径地中管路の内部を拡径切削し、新管路を構築する管路更新工法です。
フレキシブルジョイントロッドの先端に取り付けた切削ビットを水平ドリルにより既設管内に引き込み、回転する事により管内面を拡径切削します。
管路の拡径後は、拡径した内面に各種硬化樹脂をライニングする方法や、新設管を挿入して既設管渠に装着する方法が選択できます。

工事概要

工事名春日出橋架替に伴う新淀川線他移設工事(第2期)管路その2
工事場所大阪市此花区春日出南1丁目2番
概要管路拡大切削 AP管(電路管 11m×9孔)

切削前 内径100mm ➡ 切削後 内径134mm

作業内容

機器搬入・配置及び組立

パワーユニット及びノッチタンクは機械設置側人孔の地上に設置しました。
また、分解した特殊人孔カラム、水平ドリルとコントロールユニットはクレーンよって人孔内に搬入し、組み立てました。
組み立てた後、特殊カラムをスクリュジャッキにて人孔内に固定しました。(写真-1,2)

ロッド挿入

水平ドリルを使用して既設管にロッドを挿入していき、相手側人孔にて切削ビットおよび給水ホースを付けたスイベルジョイントを取り付けました。(写真-3)。
長さ1mのロッドを13本使用しましたが、ロッドの挿入・接続が機械化されているため、この作業に要した時間はロッド1本あたり平均1分22秒程で、短時間で行えました。

切削

当初は調子を見ながら慎重に切削をおこないましたが、切削に特に問題が見られなかったので、コントロールユニットを操作し、給進力をある値に一定して切削を行いました。
今回9孔切削した結果、切削速度は最高250mm/min、平均100mm/min前後を記録しました。(写真-4)

ロッド回収

ロッドの回収は、ロッドクランプ、ロッドブレーカを使用することにより、高トルクで固く締まったロッドを安全かつ容易に外すことができました。
当初はロッドブレーカの噛む位置がずれていたため、ロッドの取り外しに手間取りましたが、メーカーに調整してもらうことにより解決しました。

切削終了、ドリル移動

切削ビットが機械設置側人孔に到達した後、ビットとスイベルジョイント、給水ホースを回収します。写真-5は切削後の管内を撮影したものです。
次の切削孔に移るために特殊カラム及び水平ドリルの移動はチェーンブロックを使用し30分程の作業ですみました。

その他

  • ビットの摩耗について
    ビットの摩耗状態を見てみるとビットの外側のコンクリート部を切削するチップの摩耗が激しく、主にAP管を切削する内側のチップの摩耗はわずかでした。
    また、一部のビットでチップの欠損が見つかりましたが、これはチップが切削時の衝撃に耐えられなかったためだと考えられ、チップを大型化することによって解決できました。
  • 作業サイクル時間について
    今回、切削孔1孔当たりに要した作業時間は平均約4.5時間でした。
    最初の切削は作業員やオペレーターが慣れてなかった為、作業に時間が掛かりましたが2孔目以降は、作業時間は大幅に短縮されました。

今後の展望

今回の工事は、PRMの初施工でしたが、切削速度等は地上実験の時よりも良好な結果が得られ、多くの成果を得ることができました。
しかし、改良点、問題点も判明しました。主な問題点としては、

  1. 切削中マシンが振動により動いてしまい、特殊カラムでの固定だけでは不十分だった。
  2. ビット1個当たりの切削できる距離が現状では20m前後なのでビットの使用数が多くなってしまう。
  3. ビットの台金が切削により摩耗してしまい切削径が当初の径より小さくなる。

などがありました。これらの問題点を改良する事により解決していきたいと思います。
今後の展望としては、以下の点を中心に開発を進めてより良い工法として発展していきたいと思います。

  • ビットの改良による切削距離の延長
  • マシンの小型化 
  • 隣接管の影響防止
  • HP管用切削ビットの開発

最後に、現場にてPRMの性能測定にご協力していただいた工事関係者の方々にお礼申し上げます。

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