日光川上流流域下水道事業管渠布設工事(山崎工区)

工事概要

工事名日光川上流流域下水道事業管渠布設工事(山崎工区)
工事場所愛知県中島郡祖父江町大字桜方および山崎地区
発注者愛知県
工事内容内径1200mm アルティミット泥水式推進工、L=874.977m

問題と対策

当工事は長距離推進工事で、次の問題点に対し、事前検討を行い、対策を立てました。

推進精度の管理

  1. 通常の測量以外に到達までに違った測量機器によるセンターチェック測量を行い(2機種、3回)掘進機位置を確認する。
  2. モールキャッチャー(電磁誘導チェック測量装置)を使用し地上より確認する。

推力増大への対処

  1. 不測の事態に対応するため、中押管を2箇所設置する。(設計はなし)
  2. シルト層で取込不足にならないよう掘進機面板の開口率を上げる(10.8% → 13%)

施工について

推進日数61日間(71方)、平均日進量 12.3m/方と、概ね順調でしたが、以下のようなトラブルも発生しました。

  1. 236本目推進中、236本目前の目地より滑材が管内に流入しました。
    原因は、ヒューム管のゴムリングの破損と思われました。
    応急処置として管内より止水注入を行い、一時止まりましたが、当該目地がカーブにさしかかったとき再度出水し、管外周の滑材が管内に流入しました。
    その他、徐々に水と細砂が流入してきたため、管内に土嚢を積み再度止水注入を行いましたが、カーブ途中、目地が動き再度流入が起こると思われたので、止水性の高い内リングを設置しました。
  2. 750m地点付近で、自動滑材注入装置の7番目より切り羽側のバブルが正常に作動しなくなりました。
    7番目制御盤の接触不良と思われましたが、交換しても正常に作動しませんでした。しかし滑材注入には支障がなく、推進は続行できました。

精度管理について

測量は、350m地点まで人力、それ以降は自動測量器(ジオジメーター)にて行いました。
測量に要した時間は毎回約20~30分で、800m以降も特に時間を要することはありませんでしたが、以下のようなエラーが発生しました。

症状対処方法
測量器の傾き以外のセットアップエラー測量器内部の小さい振り子が湿気などで動かなくなっているため測量器に軽い振動を与えた
管内に漏れた泥水や滑材による視準またはロックエラー艶のないシートを管内に敷いて乱反射を防いだ。また、測量器の間隔を狭くした

前述の通り、到達までに3回のセンターチェックを行いました。
結果は以下の通りでした。

測量方法 / 測点286m701m835m875m
現場光学測量右12右22左2右12
測量会社 A右82右29右20
測量会社 B右96右80右140
モールキャッチャー左5Y方向検出せず右120
到達坑内での測量右35
(単位:mm)
  • 測量会社Aはマニュアル式のジャイロを使用
  • 測量会社Bはオートジャイロを使用
  • 現場光学式測量は、286m地点は人力による2級水準器を使用、701mと835m地点はジオジメーターを使用、また同時に、モールキャッチャーを使用。当現場は土被り10m以上であったが受信機の反応は敏感でした。
計画線形図(単位:m)
縁切り推力表

推力について

滑材の水として地下水の使用を考えましたが、鉄分が非常に多く粘性がでないことが一昨年の近接工区の実績にあるため全て水道水を使用しました。(設計数量:199m3)
縁切りの単位推力は、当初の目標値である、0.12t/m2~0.13t/m2の前半でした。
マシン到達後、薬液注入した後の最終的な縁切り単位推力は、0.14t/m2でした。
途中、推力が上昇した原因としては、400m付近で流木に頻繁に遭遇し、(到達後、面盤のスリット数ヶ所に流木が詰まっているのを確認)その後、N値の低いシルト層を推進したため取り込み不足が起こったことが考えられます。

今後の問題点

写真-3 管内状況

長距離推進における管内移動の問題(安衛法に則した管内自転車など)、管内設備の簡素化および管内設備の一体化の技術が進めば、日進量の増大に繋がると考えます。

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