インドネシア国ブカシ市での泥水式推進施工

はじめに

本プロジェクトは、東南アジアに位置するインドネシア共和国において西ジャワ州地域にあるATILUMURダムを起点としてCITARUM川を流れてきた水を、ジャカルタから西に20kmに位置するブカシ市にある浄水場からジャカルタ市内に運ぶ管路敷設工事の一部を呼び径1800の推進管を使用して泥水式推進工法で築造する工事です。

工事概要

工事名PAKET RANCANG BANGUN SPAM REGIONAL JATILUMUR 1
工事場所インドネシア共和国 ブカシ市
受注企業WIKA-JAYA KONSTRUKSI KSO
工法アルティミット工法泥水式
呼び径1800
管種内圧管
推進延長L=2,506m 6sp
線形曲線 R=350m~600m 勾配 上り・下り・レベル
土被り4m~10m
土質砂質シルト 一部硬質粘土層
発進立坑鋼矢板立坑 8.4m×4.4m
到達立坑鋼矢板立坑 6.2m×4.4m
推進期間2022年8月22日~2024年4月30日

工事の経緯

インドネシアは東南アジア南部に位置している人口約2.7億人の国です。
インドネシアの首都ジャカルタは、約1,056万人を抱え経済・政治の中心地として急速な発展を遂げています。
その一方で、地下水の過剰揚水を原因として地盤沈下が進行しています。
これは、近年の経済成長と首都への人口集中を背景とした工場あるいはビルなどでの、過剰な地下水の汲み上げが主因と考えられています。
特に経済活動が集中する北部の低地でその傾向が著しく、一部地域では満潮時に海水が浸水する等の被害が顕在化しています。
北部では1970年以降最大で4m以上沈下するなど、世界でも稀に見る速度で発生しており、洪水・高潮などの水害リスクを助長し、洪水被害を増大させています。
それだけでなく、物流の停滞など市民生活の阻害をもたらし、社会経済への影響が大きくなっています。
地盤沈下と海面上昇によって水没の危機に見舞われいるインドネシアの首都ジャカルタでは、沖合に巨大な防潮堤を築く計画が持ち上がっていますが、実際のところ地下水の使用という地盤沈下の原因を取り除かない限り問題が解決することはありません。
そこで、地盤沈下対策として水道の普及拡大により地下水の汲み上げを止める目的で、浄水場からジャカルタ市内に水を運ぶ管路建設の推進工区を弊社が施工協力することになりました。

当初の検討項目

推進管の検討

今回の工事で使用する推進管(現地生産:WIKA BETON)は管自体を内圧管として使用するため接合部の形状・寸法が日本の推進管と若干異なる箇所が存在しています。
※L=3.0m 外径は日本の推進管と同寸法

工事開始前に、何度もWIKA BETON(ヒューム管製作会社)とメールでのやりとり・ウェブミーティングの開催を行い曲線推進における接合部・許容耐荷の検討を行いました。
また、現地に赴きWIKA BETONの工場で推進管の品質確認を行いました(写真-3)。
綿密な打ち合わせ・検討を行った結果、曲線部での接合部の破損などなく大きなトラブルは発生しませんでした。

写真-3 ヒューム管品質確認

施工報告

今回のブカシプロジェクトでは、推進力低減のため、ULIS(アリティミット滑材注入システム)を使用し、曲線推進管理については掘進機折れ角とセンプラカーブシステムとジャイロコンパス・管内手測量を駆使し対応しました。
また使用する掘進機は、㈱イセキ開発工機の協力を得てφ1,800mm泥水式掘進機を製作いたしました(写真-4)。
プロジェクト開始当初は、日本人エンジニアを増員し現地ワーカー(WIKA BETON)・弊社インドネシア建設駐在員事務所現地スタッフに技術指導を行いました。
弊社インドネシア人スタッフ ヌル氏が掘進機オペレーターを担当しました。
本工事は、道路中心部を占有して施工を行っております。
インドネシア特有の渋滞を考慮しての占有範囲の制限もあり資機材配置に苦労いたしました(写真-5)。

写真-5 現場占有状況

国が違えば文化・風習が違うとよく聞きますが、インドネシアは人口の86パーセントがイスラム教徒です。
従って発進式はイスラム方式で行われ、色々な儀式がありましたが、あまり意味は分からず新鮮に受け止めました(写真-6,7)。

写真-6 発進式(イスラム方式)写真-7 発進式(イスラム方式)
写真-8 初期掘進

本プロジェクトを施工するにあたって色々なトラブルを事前に予測し対応・準備をしていましたが、日本では起こりえないトラブルが発生し東南アジア特有のトラブルを実感いたしました(写真-9)。
その他色々なトラブルがありましたが、精度もよく無事到達いたしました(写真-10)。
掘進機の回収は、交通渋滞を考慮し夜間での回収を行いました(写真-11)。
本プロジェクトを施工するにあたって現地スタッフを数名採用しました。
未経験ではありますが毎日頑張って技術を習得し成長してくれていると思います。

おわりに

本プロジェクトは完了しましたが、今後も管路建設推進工区の発注が見込まれる中で、ブカシ工事の実績を糧に今後の施工に活かしていく所存です。
今回は日本人エンジニアを必要最低限の人員・現地ワーカー・スタッフを交えての施工となりました。
推進工法自体わからないことや言葉・文化・風習問題等色々ありますが日々頑張ってくれました。