河川復旧工事-須磨工事 φ2000×278m,137m,アルティミット工法

はじめに

1995年、市道下を流れている神戸市千森川水系千森川が、阪神大震災により護岸および下床版が大きく損傷し、周辺の土を緩め、市道千守線の陥没事故を引き起こしました。
このため、現河川を調査した結果、部分的な応急修理では対応できないことが分かり、本格的な河川災害復旧工事を始めることになり、当工事が発注されました。

工事槻要

工事名千森川水系 千森川河川災害助成工事
工事場所神戸市須磨区須磨寺町地内
企業者兵庫県神戸土木
工事内容管径φ2000mm
工法アルティミット工法(泥水式)
延長415.119m(2スパン)
上流側スパン延長278.049m
曲線部三ヵ所(R=200m、R=200m、R=120m)
勾配58.8‰
土被り4~6m
下流スパン延長137.07m
曲線部二ヵ所(R=60m、R=60m)
勾配25‰
土被り2.5~4m

問題点と対策

施工前に考えられた問題点と、その対策方法には、次のことがありました。

  1. 低地下水位に対する泥水工法での切羽水圧のバランス
    薬液注入工法(ソレタンシュ工法)により逸泥防止ゾーンを設けました。
    切羽水圧を低水圧に抑えるために、送泥ポンプも可変速とし、掘削土量を管理するためには、単管密度計を設置し、また、逸泥対策として泥水の粘性を上げる事で対処し、比重1.2、粘性35sec以上を確保しました。

  2. 急曲線(R=60m)での線形確保
    管と管の間に特殊継ぎ輪を挿入し、目地開口を許容値の範囲内にすることができました。掘進機は2段折れが可能な急曲線対応型を採用しました。
    また、拡幅掘削に対する地山の保持及び推進性の確保のために、自動滑材注入装置(1次/2液型、2次/1液型)を使用しました。

  3. 間作業での騒音対策
    泥水1次処理機を防音室の中に設置することで対処しました。
    また、上流スパン発進直後、到達立坑掘削中に巨礫(φ700mm)の存在を確認したため、掘進機を引き抜き、面板形状を検討・製作し再発進させることになりました。

上流スパンを終えて

上流スパン推進中、カッタートルクが上昇し、ジャッキスピードは下降し始め、ついにはカッターが回らなくなったことがありました。
現場では、”巨礫との遭遇か?”と思われました。
到達後、掘進機の状況を点検すると共に、カッターが回らなくなった原因を追究、検討した結果、掘進機第1チャンバ内に、土砂が付着すると共に完全に埋まっており、また、第2チャンバ内にも第1チャンバほどではないが、土砂が詰まっていました。
原因として、本工事の土質は、土質柱状図では礫混じり砂でしたが、掘進時の土質状況は、礫混じり砂に、シルト粘土が介在する場所があり、特に、カッターが回らなくなった位置手前から、シルト粘土が多くなり、これが原因で掘進機チャンバ内に付着したものと考えられました。
対策として、現在第2チャンバ内に泥水を送るようになっていますが、これを第1チャンバにも送れるように配管を接続しました。
また、掘進機のカッタービットの摩耗も、当初予想していたよりも大きく、磨耗量を測定し交換部品を検討した結果、ローラービット1ヶ、磨耗防止板全部の肉盛り、先行ビットの取付けを行ない、下流スパンの推進に備えました。

あとがき

現在、下流スパン推進工を、昼夜間作業で施工中です。
これまでの施工中において、たくさんの方々にお世話になり、ありがとうございました。この場を借りてお礼を申し上げます。