狭小な重要地下埋設物間を貫通推進したアルティミット工法

工事概要

工事名都島本通幹線下水管渠築造工事(その3)
発注者大阪市都市環境局東部管理事務所
請負者機動建設工業(株)
工事場所大阪市都島区都島本通4丁目地内から2丁目地内
施工2002年8月5日~11月9日(推進工のみ)
工事内容アルティミット工法泥水式呼び径φ2000mmヒューム管
延長L=281.3m 1スパン
曲線半径225m
曲線長42.194m
勾配+1/1400
推進路線図(管割図)

施工環境

当工事は、発進部・到達部とも住宅が密集する市街地にあり、主要幹線道路の都島本通を南北に横断し推進する計画となっています。
発進から約70m付近に、片側2車線道路(4車線道路)の幹線道路があり、その下部に共同溝、さらにその下部に地下鉄 (上り・下り)が道路と平行して構築されています。
また、埋設物も推進に並行してガス・水道・電気があり、地上部も蜘味の巣状に電気・通信ケーブル等の架空線があります。

地質概要

発進から到達に至るまでの土質は、沖積層のシルト質粘土です。
土被りは、発進でGL-7.9m、到達でGL-8.1m、平均GL-8.1mです。
地下水位は、発進でGL-1.8m、到達でGL-1.9m、平均GL-1.8mです。

施工上の課題と対策

工事公害の防止

発進防音ハウス

施工区間が住宅地の密集する市街地での施工であり、地域住民への工事公害が問題となります。
その対策として、発進防音ハウス(幅11.8m、長さ25.2m、高さ11.7m)を設置し、また、騒音防止測定器を現場境界に設置し、9時から17時の間、リアルタイムにデータを現場事務所に取り込み、監視・確認する施工となりました。

掘進機の選定

管路部の土質がシルト質粘土、N値 0であるため、掘進機選定において掘進機の重心が前にある事によるレベル管理の問題、コーン部での閉塞の問題がありました。
検討した結果、マシン見掛け比重の軽い普通泥水機を採用しました。

重要地下構造物への影響

本工事は、共同溝の離隔が推進管上端から500mm、地下鉄の下り線の離隔が推進管下端から504mm、上り線の離隔が684mmという事前測量の結果がありました。
そのため、地下構造物に影響を与えない工法の選択を検討しました。

最小テールボイド

埋設推進管の周辺地山を乱さないために、必要最低限のテールボイドで281.3mの推進施工が可能な工法として、アルティミット工法泥水式が採用されました。

推進力の低減

共同溝、地下鉄の狭小な空間を貫通させるために、大きな推進力は地下構造物に悪影響を及ぼすことが懸念され、低推進力の可能な技術として、ULISが採用されました。
滑材はアルティーKを使用しました。
アルティーKの水溶液は、チキソトロピー性を持つ滑材です。
つまり、静止状態では流動化がしにくく、逆にポンプなどにより外的圧力が加わると流動性を有する液体に変化する特性を持っています。
しかも高吸収性樹脂を含有しており、透水係数の大きな地盤に対しても逸失することもなく滑材効果を維持することができます。

共同溝・地下鉄に対する管理

重要構造物への影響は許される事は無く、その対策が綿密に協議されました。管理方法としては、

  • ひずみ計の設置による、ひずみ測定
  • CM(Crack Movement)ゲージによる、ひび割れ幅開き測定
  • 縦方向については、レーザー変位計による変位測定
  • 事前のクラック調査
  • CTM(Concrete Thickness Measurement)測定器による、共同溝、床版厚測定

等が採用されました。

管理値においては、レーザー変位計を使用し、地下鉄では10m弦で、一次管理値で2.25mm、二次管理値で3.39mm、管理限界値4.50mm、共同溝では、一次管理値0.328mm、二次管理値1.599mm、管理限界値2.870mmという協議結果の条件のもと施工を行いました。
管理期間は、地下鉄(下り線)手前15mから地下鉄(上り線)奥行15mの間約50mを本計測、本計測以前の1ヶ月を事前計測、本計測以後から裏込注入完了迄を事後計測としました。
上記のひずみ測定及び変位測定は、リアルタイムに現場事務所にデータを取り込み管理しました。

施工結果

工程

2002年8月 5 日より設備工を開始し、9月2日から初期掘進を行いました。
昼間施工で日進量は平均6.5m/日でした。推進速度は、平均40mm/minでした。
掘進機回収は10月23日に行い、引き続いて推進設備撤去、裏込注入に入り無事施工を完了しました。

工事公害の防止

発進立坑の作業はすべて防音ハウス内での作業としたため、対外的にも、地元にも問題はありませんでした。

掘進機

掘進機面盤

N値が0であるため、掘進機の精度保持が懸念されましたが、事前の土質と掘進機特性の検討を早期に行い、適切な対策を講じたため、前に沈み込むこともなく無事施工を完了しました。
曲線造成においても、計画曲線の造成が行える機能を装備することにより、計画通りに行えました。
また、推進管列もセンプラカーブシステムの効果により、掘進機に追随して高精度に曲線を形成しました。

推進力

推進力は発進立坑より90m付近までは、平均2000kN以内で推移しましたが、共同溝築造時の地盤改良及び、矢板欠損部にセメント系材料が使用されていたことから、面板抵抗力が上昇しました。
上記の理由で、90m以降から、先端抵抗力が上昇して全体の実推進力が上昇し、計画推進力を上回りました。
到達時には、計画推進力の3680kNを上回る4000kN近い推進力で到達しました。
先端の面盤抵抗力の上昇はありましたが、管外周面抵抗力は滑材効果により小さく推移したこと、また、テールボイドが小さく設定されていることが、共同溝、地下鉄等への影響を与えなかった重要な要因と思われます。

重要地下構造物の管理

ひずみ測定及び変位測定は、リアルタイムに現場事務所にデータを取り込み管理しました。
また、本計測期間の推進中は共同溝内に人が入り監視及び確認を常時行いました。
計測管理結果は、一次管理値を越えることもなく、無事に工事完了しました。
共同溝では床版から、毎分8000ミリリットル程度の漏水が以前よりあり、泥水及び滑材の逸泥が懸念されました。
しかし、泥水管理を充分行うことにより、噴出もなく無事に通過しました。

測量管理

日々の測量管理は推進管1本毎(2.43m)にセンター、レベル測量を行い、推進中はジャイロコンパスにより方位を常時監視し、管理しました。
上記の結果、センター、レベルとも士30mm以内の高精度の結果となりました。

あとがき

今回の推進を始めるに当たり、建設局(共同溝)、交通局(地下鉄)と地下埋設物の管理方法についての綿密な協議を行いました。
工事が完成出来たことは今後の推進工事への大きな自信になりました。
この実績を活かしてアルティミット工法の更なる究極を目指したいと思います。
最後に、本工事において大阪市都市環境局他、工事関係者皆様方のご指導、御協力のもとに無事終了できましたことを、心から感謝致します。